モダン庁舎の終焉 壬生車庫
四条大宮から斜めに伸びる後院通りを北上したところの京都市交通局壬生車庫。ここは1912年(明治45年)京都市電が開通した当時に電車の操車場として開設された、京都の都市交通発祥の地といえる場所です。

現在の庁舎は1956年(昭和31年)11月の竣工。老朽化のために来年度の移転が決まっています。この土地の一部は京都府に譲渡され、新しい警察署の建築用地となるそうです。

この交通局の庁舎、相当古びてはいますが、50年代らしくちょっとポップで立体的な、モダンさにあふれた建築群なんです。
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アールのついたガラス出窓がアクセントになっている低層の車庫部分、こういう曲線のデザインは、昔のタクシー会社やガソリンスタンドなどにも見られる50年代モータリゼーション風味ですね。
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コンクリートの庇が軽やかなファサード部分は、窓口や建物への入り口が並びます。
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大小の箱が重なった形の建物の奥には、一本の大木がすっくと立つ小さな中庭を囲むように、斜めに濃い色の壁面の棟が続きます。
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このガラスの壁面や屋上のバルコニーもとても美しいデザイン。
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こんな個性的な50年代のモダニズム建築がなくなるのは非常に惜しいです。
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■中京区 京都市交通局 壬生車庫
■1956年(昭和31年)11月竣工
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# by radionova2 | 2006-12-27 00:30 | 公共行政
伊東忠太の獅子 祇園閣
先月、円山公園にある祇園閣が公開されていたので見てきました。1927年(昭和2年)竣工、伊東忠太設計の異形の近代建築です。

現在は、龍池山大雲院という寺院の持ち物になっていますが、元は日清・日露戦争で巨万の富を得て一代で大倉財閥を築いた大倉喜八郎の別荘内に展望台として建てられた楼閣です。

祇園祭の山鉾風の屋根、寺院建築風の木組を模したテラス部分、城郭の石組みというよりはシャボンの泡のかたまりをイメージさせる形の土台の部分(ここは階段室なだけ)。この建物は鉄筋コンクリート製なのでこれらの表象には機能は関係ありません。すべてデザインなんです。やっぱり伊東忠太、素敵すぎる。
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この不思議なデザインを引き締めているのが、塔を守る一対の獅子。これがまた伊東忠太らしい独特の存在感があってすばらしいのです。中は撮影できなかったので、この味のある獅子をしっかり押さえてきました。
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あえて獅子と書きましたが、神社の入り口なんかにいるのは、本来、"獅子狛犬"という一対で、角があるのが狛犬、無いほうが獅子という区別があるそうです(これは京都国立博物館の展示で覚えた!)。これは角がないので両方とも獅子ということになりますね。
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展望台の手すり部分などはピンク色のコンクリートが少し風化している部分もありましたが、あまり使われていない建物なのでしっかりしている感じでした。今回は最上階へは上がれなかったのですが、いつか機会があれば上も見てみたいものです。
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■東山区 祇園閣
■下層及び基礎:鉄筋コンクリート造、中層以上:鉄骨鉄筋コンクリート造 3階建、銅板葺
■1927年(昭和2年)築 伊東忠太設計
■登録有形文化財
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# by radionova2 | 2006-12-18 02:48 | 文化財その他
修復?改築? 救世軍京都小隊
1935年(昭和10年)築、ヴォーリズ設計の救世軍京都小隊。ここは、クリスマスの時期、華やかさはないものの独特の味がある建物なので買い物のついでに見にいくと、なんと工事のバリケードやビニールシートが掛かっているではないですか。一瞬「取り壊しか!?」とビビリました。

よく見るとどうやら改装工事のようなので、明るい時間に様子をチェックしてきました。
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富小路通りに面して小さな窓があった壁面が豪快に切り開かれていて、裏側まで貫通していました。内部は木造のようです。耐震面なども課題があるのでしょうか。
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外壁だけ残して内部をそっくり作り変えてしてしまうのでしょうか。これまでは、あまり手をつけられていないゆえに怪しげに古びた味のある建物だったので、最終的にどういう状態になるのか気になるところです。
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扉には「工事をします」という旨の張り紙があるのですが、荷物の転送先の情報なんかが貼り重ねられていて、修復なのか改築なのか書いた部分の肝心なところがよくわかりませんw
元の雰囲気を損なわないよう改装されるといいんですが。また定期的にチェックしてみます。

■下京区四条富小路下ル 救世軍京都小隊
■1935年築 ヴォーリズ設計
■木造?
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# by radionova2 | 2006-12-13 00:50 | 宗教施設
丸物懐古展で見つけたモダニズム 東京丸物
来年2月に86年という長い歴史を閉じることになっている京都近鉄百貨店。個人的には、前身の丸物に子供時代の思い出が残る店です。『丸物懐古展』と題した、この店の歴史を振り返るミニ展示も2回目。今回はお客さんや元社員が思い出の品や写真を提供したり、京都店以外の丸物についての展示などもされていました。

本家の京都店を差し置いて私が見入ってしまったのは、池袋の東京丸物について紹介した古い印刷物のパネルです。係りの人に「この展示の写真撮ってもいいですか」と聞くと「どうぞどうぞ、どれでも撮ってください!」ということだったので遠慮なく写してきました。

昭和32年、1957年竣工の東京丸物(池袋ステーションビル)。現在の池袋パルコです。この北壁面のモザイクタイルの壁画!この時代ですね。写真のキャプションに村野藤吾設計とあります。当時の様子が伺える貴重な画像ではないでしょうか。
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言っちゃ悪いですが、こっちのWikipediaにあがっている今の写真(現状2006年5月)より、当時のもののほうがよっぽどイケてるモダニズム建築ではありませんか。
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この階段(夢の階段・ドリームステップ!)なんかもちょっと雰囲気はありますね。いずれにしても、東京丸物はたった10年でパルコになってしまうのですが、これらのデザインがそんなにあっという間に消えてしまったとしたら勿体無さすぎますね。
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■池袋 東京丸物
■1957年竣工 地下3階、地上8階、塔屋3階、鉄筋コンクリート造
■設計 村野藤吾 施工 大林組(建築工事の写真によると)
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# by radionova2 | 2006-12-03 00:26 | 店舗
完全木造工場
住宅や寺社仏閣以外の木造建築って、防火上の制約なんかもあるんでしょうが今では滅多にみかけません。二条駅に近い街中で、こんなふうに比較的大きな木造の工場は希少なんではないでしょうか。
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ここは、吉澤商店という建築資材屋さんのようです。JR二条駅の北向かい側の中京中学の角を曲がってみてください、この一角にさしかかると昭和にタイムスリップしてしまいます。
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一箇所アルミの扉がある以外はみごとに木造で、剥れかけたグリーンのペンキがいい味を出しています。
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かなり朽ちかけではあるのですが、窓や壁面のディテールがなつかしく、いまどき滅多にみかけないものなので面白いです。
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この工場、いつまでこの姿で残っているでしょうね。
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■中京区 会社事務所
■木造2階建
■千本 押小路あたり
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# by radionova2 | 2006-11-26 23:37 | 企業