先月、円山公園にある祇園閣が公開されていたので見てきました。1927年(昭和2年)竣工、伊東忠太設計の異形の近代建築です。
現在は、龍池山大雲院という寺院の持ち物になっていますが、元は日清・日露戦争で巨万の富を得て一代で大倉財閥を築いた大倉喜八郎の別荘内に展望台として建てられた楼閣です。 祇園祭の山鉾風の屋根、寺院建築風の木組を模したテラス部分、城郭の石組みというよりはシャボンの泡のかたまりをイメージさせる形の土台の部分(ここは階段室なだけ)。この建物は鉄筋コンクリート製なのでこれらの表象には機能は関係ありません。すべてデザインなんです。やっぱり伊東忠太、素敵すぎる。 この不思議なデザインを引き締めているのが、塔を守る一対の獅子。これがまた伊東忠太らしい独特の存在感があってすばらしいのです。中は撮影できなかったので、この味のある獅子をしっかり押さえてきました。 あえて獅子と書きましたが、神社の入り口なんかにいるのは、本来、"獅子狛犬"という一対で、角があるのが狛犬、無いほうが獅子という区別があるそうです(これは京都国立博物館の展示で覚えた!)。これは角がないので両方とも獅子ということになりますね。 展望台の手すり部分などはピンク色のコンクリートが少し風化している部分もありましたが、あまり使われていない建物なのでしっかりしている感じでした。今回は最上階へは上がれなかったのですが、いつか機会があれば上も見てみたいものです。 ■東山区 祇園閣 ■下層及び基礎:鉄筋コンクリート造、中層以上:鉄骨鉄筋コンクリート造 3階建、銅板葺 ■1927年(昭和2年)築 伊東忠太設計 ■登録有形文化財
by radionova2
| 2006-12-18 02:48
| 文化財その他
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